青の不思議屋さん-小説−











「今後どうするつもりであるカ」

 この男に協力をしてもらい、雇い主の計画を実行したことを思い出した。

 今回の雇い主の目的は、大祭を混乱に陥れると同時に王制を変えることだ。

そして、政治の制度を変えた後は、雇い主が政治を握ることにある。  

「たぶん」

 と言って、男は深く煙草を吸って吐き出した。

「夜祭を狙っている可能性が大いにあるな。

この忙しいときに、昼間事件を起こしたこともあって人手不足で警備不測。

国民の参加で集まるところを狙えば、一息に大混乱というわけだ。この祭りの主役である王と側近達はたちまち反感を買うだろう」

 男が2本目を吸い終えた。

「実は、ヘビースモーカーっていうやつダネ?」

「いや、普段吸わないからヘビースモーカーとは言わない」

 ストレスの反動か。

 そのペースで吸うならば一箱は軽くいきそうだ。

 それを裏付けるかの如く、3本目の煙草をも躊躇わずに取り火をつけて、深く吸った。





 バンバンッバン





 吸ったと同時に、タイミングよく爆発音が聞こえた。 

「いつの間にそういう芸ができる煙草に−」

「煙草がそんな音するかっ!!今のは花火の音だ」

 花火、それは火薬を空に打ち上げる、アレのこと。 

「不謹慎なっ、誰だ?まだ大祭は始まってない−」

 祖国では祝い事には欠かせない花火だが、ここの国では花火が、一風変わったルールの下に何年も誰も花火をしたことがない。

『ユタカ、いる〜?』

 のんきそうな女の声が、男の懐からしてきた。

 その声の出ところを探り当て、男は懐から無線機を取り出して軽く振る。

「羅愛ですか?先ほどの音は、まさか貴方が−」

『なわけあるかい!もぅ、何でもかんでも私が絡んでいるって思わないでよ!』

 無線機の向こう側にいる相手は、軽快で元気そうな女だ。

 その人物に対して、自分と話すときの口調とはまったく違う、恭しく丁寧で相手を尊重しているような話し方。

 男はリャンの方をチラリっと見ると、リャンに無線機の内容を聞かれないように、ある程度距離をとった。 





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